樹脂系サイディングとは外壁材の一つで、張替え工事などを検討していると耳にする場面も多い外壁材の一つです。
他の窯業系サイディング、金属系サイディングなどと比べると日本でのシェア率はかなり低いですが、他にないメリットもあり、住んでいる地域の気候や工事の目的によっては適した外壁材と言えるでしょう。
今回は樹脂系サイディングについて、特徴や費用をご紹介します。
1樹脂系サイディングとは?
樹脂系サイディング(Vinyl Siding)とは、「塩化ビニル樹脂」を主原料としてつくられたサイディングです。
日本でのシェア率はわずか1%程度といわれておりほとんど使用されていないのが現状ですが、北欧などでは古くから使用されていて50%程のシェア率を占めるなど人気の外壁材です。
2樹脂系サイディングのメリット・デメリット
樹脂系サイディングの大きな特徴と言えば、メンテナンスフリーと言われるほどの耐久性の高さと、凍害に強く寒冷地などでの使用に適していることです。
他の外壁材と比べた場合のメリットとデメリットとしては以下のようなものがあります。
2-1 メリット
●耐久性が非常に高い
樹脂系サイディングの耐久性は、他のサイディング材と比べると群を抜いて高いと言えます。
メンテナンス頻度は窯業系サイディングが7~10年、金属系サイディングが10~15年程度であるのに対して、樹脂系サイディングは20~30年程度と言われています。
通常サイディング材には表面に塗料が塗られており、建築から時間が経つにつれてこれらの塗料が劣化し色褪せなどが目立つため再塗装が必要になりますが、樹脂系サイディングは素材自体に顔料が含まれているため色褪せが起こらず、再塗装の工事は一部の例外を除いてはほぼ不要と言われています。
サイディング同士のつなぎ目部分にあるシーリングの補強工事なども、通常のサイディングであれば5~10年に一度は必要ですが、樹脂系サイディングの場合にはそもそもシーリング材を使用せず施工できるものもあります。
シーリングを使用しなければ、補修工事も不要となります。
●凍害と塩害に強い
北欧で多く普及している樹脂系サイディングですが、その理由の一つとして凍害に強いということがあげられます。
外壁材が凍結するとひび割れなどに繋がる恐れがありますが、樹脂系サイディングは撥水性があり水や湿気を吸い込むことが少ないので、凍結することはほぼありません。
さらに、塩分を含んだ雨などによって錆びついてしまうことも少ないため、海浜地域などでも安心して使用できるのが特徴です。
●非常に軽い
窯業系サイディングは主成分としてセメントを使用しています。
それに対して樹脂系サイディングは「塩化ビニル樹脂」、つまりプラスチック系の材料を使用しているため非常に軽く、窯業系サイディングの10分の1程度の重さです。
外壁材が軽いと建物への負担が少なくなるため、地震の際などに揺れを軽減できるというメリットがあります。
2-2 デメリット
●施工できる業者が少ない
先にも説明した通り、日本でのシェア率は1%程度と非常に少ないです。
そのため、施工できる業者に限りがあり、実績のある業者を探すのは簡単ではありません。
工事の難易度も高く、しっかりとした技術を持つ業者も少ないのが現状です。
●費用が高い
メンテナンスには手間がかからないものの、珍しい外壁材なので、導入にかかる費用は他の外壁材に比べて高いです。
(詳しい価格については3章で詳しくご説明します。)
●デザインのバリエーションが少ない
日本で最も多く普及している窯業系サイディング、金属系サイディングなどに比べて、樹脂系サイディングは色やデザインの種類がとても少ないです。
色やデザインにこだわりがある場合には、樹脂系サイディングは適していないと言えるでしょう。
3施工のポイントと費用
3-1 樹脂サイディングが適しているのはどんな場合?
樹脂系サイディングのメリット・デメリットをご紹介してきましたが、では、樹脂系サイディングが適しているのはどういった場合なのでしょうか。
家の状況や周囲の気候など時と業況によって様々ですが、概ね以下のような場合には樹脂系サイディングが適しているといえるのではないでしょうか。
☑メンテナンスの手間をかけたくない
☑張り替え工事の頻度を抑えたい
☑寒冷地・海沿いの地域に住んでいる
☑耐震性を高めたい
☑初期費用は高くても良い(メンテナンス費用を抑えたい)
☑業者探しの手間を惜しまない
☑色やデザインにはそれほどこだわらず機能性を重視する
3-2 施工にかかる費用
ここで、樹脂系サイディングの施工にかかる費用を具体的にチェックしてみましょう。
樹脂系サイディングで張替え工事を行った場合の費用の相場としては、150~230万円程度です。(施工の面積によって異なります。)
他の外壁材に比べると頻度は少なくなりますが、メンテナンスとして塗装の工事を行う場合、1回100万~180万程度は費用が掛かります。
3-4 他の外壁材との費用の比較
日本で最も多く普及している窯業系サイディングと、次いで人気のある金属系サイディング、またビルなど大型の建物で多く使用されるALC(軽量気泡コンクリート)と、樹脂系サイディングの費用をそれぞれ比較すると、以下のようになります。
<主な外壁材の費用の比較>
外壁材 |
単価 |
費用相場 |
樹脂系サイディング |
4,000円~9,000/㎡ |
150万円~230万円 |
窯業系サイディング |
3,000~7,000円/㎡ |
100万円~200万円 |
金属系サイディング |
3,500~9,000円/㎡ |
120万円~200万円 |
ALC |
6,000~10,000円/㎡ |
200万円~400万円 |
※費用はあくまで目安です。
メンテナンスの頻度はこれらの外壁材の中では最も抑えられるため、長期的にみると費用を抑えられる可能性はありますが、施工時には決して安くない費用がかかると言えそうです。
4まとめ
樹脂系サイディングはまだまだ普及率が低い外壁材です。
しかし、耐久性の高さなど他の外壁材にはないメリットも多くあり、しっかりと施工ができる優良な業者に出会うことができれば、長期的に利点の多い工事をすることも可能と言えるでしょう。
寒冷地に住んでいる場合や、他の外壁材ではどれも納得がいかないという場合は、一度検討してみてもいいのではないでしょうか。
外壁・塗装コネクトでは、地域の優良業者、実績のある業者を厳選し、ご紹介を行っております。
何かお困りのことがございましたら、いつでもご相談ください。
外壁塗装工事について調べていると、コーキングやシーリングという言葉を目にすることも多いのではないでしょうか。
サイディングやALC、モルタルなどの主要な外壁でコーキングはとても重要な役割を担っており、メンテナンスの際にはコーキングの補修が欠かせません。今回はコーキングの役割や、劣化症状の見分け方、修理にかかる費用などを簡単にご紹介します。
11章 コーキング(シーリング)とは
1-1 コーキングって何?
コーキングとは、簡単に言うと外壁材のつなぎ目部分などを充填するものです。
現在日本で多く普及している窯業系サイディング、金属系サイディング、ALCなど、ほとんどの外壁材ではこのコーキングを使用しており、劣化などの状態に応じてメンテナンスが必要です。
また、モルタルなどのようにつなぎ目のない外壁材でも、ひび割れの補修などにコーキングが使用されます。
1-2 コーキングとシーリングの違いについて
コーキングとシーリングは、ほとんど同じ意味でつかわれると考えていいでしょう。
もともとは、コーキング(Caulking)「隙間を埋めること」と、シーリング(Sealing)「密封する」というそれぞれ別々の単語ですが、外壁工事の依頼などにおいての使い分けはとても曖昧です。
工事の依頼をする際なども、どちらの言い方でも通じると思って差し支えないでしょう。
1-3 コーキングの役割
コーキングには大きく分けて、外壁の隙間を埋めて雨水などの侵入を防ぐこと、外壁のズレなどを吸収することという2つの役割があります。
●外壁の隙間を埋める
サイディングなどパネルを張り合わせて施工を行う外壁材では、つなぎ目部分に隙間が生じます。
コーキングは、見た目はもちろん、外部からの水の侵入などを防いで外壁の下地が劣化するのを防ぐという役割も担っています。
●外壁のズレなどを吸収する
セメントなどを主成分として使用している外壁材は固く、天候などによってわずかに収縮するとひび割れなどを起こしてしまう可能性があります。
隙間部分に、ゴムのように伸縮性のあるコーキングを入れておくことで、外壁材のズレや収縮を吸収し、ひび割れなどを防いでいます。
2コーキングの劣化症状と修理方法
コーキングは外壁材や下地を守るためにとても重要な役割を担っているため、劣化がみられる場合には適切な修理を行う必要があります。
修理時期の目安としては、紫外線の当たり方や、気候など、建物の立地条件によっても様々ですが、5~10年程度に1回は必要であると言われています。
2-1 劣化でよくある症状
コーキングの劣化症状としてはひび割れ、肉やせ、剥離などがあります。
●ひび割れ
劣化の初期では、コーキングに小さなひび割れが見られるようになります。
紫外線などによる経年劣化や収縮によるもので、放置しておくと次第にひび割れが大きくなっていきます。
ひび割れが出てきたらメンテナンスを少し意識しておきましょう。
大きな亀裂ができた際や、全体にひび割れが多く見られるようになったらすぐにでも補修をしましょう。
●肉やせ、剥離
コーキングや周りの外壁材が収縮することで、コーキング部分がやせて細くなったり、隙間ができて剥がれてしまったりすることがあります。
このような症状もメンテナンスのサインと考えましょう。
剥がれてしまった場合にはいつ水や害虫によっていつ下地が被害にあってもおかしくないので、早急に工事を検討しましょう。
建築や前回のメンテナンスからの年数に関わらず、このような症状があれば、修理を検討した方がいいでしょう。
2-2 修理の2つの方法
コーキングの修理には、「打ち替え」と「打ち増し」の2つの方法があります。
●打ち替え
既存のコーキング材をすべて剥がしてから新しいコーキング材を施工する方法です。
傷んだ部分をしっかり取り除いて再度施工するため、コーキング本来の機能を回復させることができ、打ち増しに比べて持ちもいいです。
コーキング材の撤去に手間がかかるため、打ち増しに比べて1~5万程費用が高くなります。
●打ち増し
既存のコーキング材の上から重ねて新しいコーキング材を施工する方法です。
打ち替えに比べて手間がかからず費用を抑えられますが、傷んだコーキング材はそのままになるため、再び劣化してくるのが早くなります。
打ち替えに比べて費用は少し安くなりますが、基本的には打ち替えがおすすめです。
3修理にかかる費用
3-1 修理費用の相場
コーキングの修理にかかる費用には、新しいコーキングの施工費、既存コーキングの撤去代、足場代などがあります。
●施工費
新しいコーキングの施工費はメートル単位で計算され、1mあたり900円~1,200円程であることが多いです。
コーキング材にもいくつか種類があり、アクリル、ウレタン、シリコン、変性シリコン、ポリウレタンなど、それぞれに特徴があり費用も異なります。
耐久性や耐熱性に優れたシリコンが、現在では最も人気といわれています。
●既存コーキングの撤去代
既存コーキングの撤去代は1万円~5万円程度です。打ち増しの場合にはかかりません。
●足場代について
足場代は15~20万円程かかります。
ひび割れの補修のみの工事で、高所作業が必要ない場合などを除いて、基本的に足場代は必要になると考えておいた方がいいでしょう。
建物の構造によって、3階建て、4階建てとなればさらに費用は高くなります。
相場としては、2階建て住宅で建物全体の打ち替え工事を行った場合、30~50万程度となります。
実際には現地調査を行って正確な施工量などを調べる必要があるので、費用はあくまで目安と考えましょう。
3-2 DIYはやめた方がいい?
施工には高額な費用がかかるため、ホームセンターなどでコーキング材を買ってきてDIYで施工したいという方もいるでしょう。
●DIYのメリット
DIYのメリットとしては何といっても費用を抑えられることです。
業者に依頼した場合には30万以上の費用が掛かるのに対し、ホームセンターで材料を購入して自分で施工するなら数万円程度の出費で済みます。
●DIYのデメリット
デメリットとして、失敗のリスク、後の工事に余計な費用が掛かる可能性があること、高所作業で危険が伴うことなどがあげられます。
剥がす予定だった養生テープが剥がれなくなった、見た目的に綺麗にできなかったということは少なくありません。
また、少し汚れが落ち切っていなかったというだけでも、防水性などコーキング本来の機能がしっかりと発揮できず、トラブルになったり、すぐに剥がれてしまったりということもあります。
こうなると後から業者に頼んでも、失敗したコーキングの撤去に余計な費用が掛かるため、かえって費用が高額になってしまう可能性もあります。
結論としては、ほんの小さなひび割れの補修や応急処置という場合を除いて、基本的にはコーキングの修理は業者に依頼するのがおすすめです。
DIYも絶対にできないというわけではありませんが、自信がある方でも十分に注意して行うようにしましょう。
3-3 まとめ
コーキングの修理は、外壁の機能を保つためにとても大切な工事です。
傷みの度合いなどを確認しながら、完全に劣化して機能を失ってしまう前にしっかりと補修工事を行うようにしましょう。
補修とはいえ30~50万円程度の費用がかかる工事です。
悪徳業者などの被害にあわないためにも、業者選びの際は実績があり信頼できる業者を選ぶのが大切です。
外壁・塗装コネクトでは、優良業者のご紹介と相見積もりの際のお断り代行などのサービスを行っております。
お困りのことがございましたら、お気軽にご連絡ください。
屋根塗装の費用は屋根の面積や、選ぶ塗料によっても大きく異なります。
一般の方からすると価格が適正かどうかの見わけがつきにくく、高額請求をする悪徳業者や、費用を安く見せかけて手抜き工事をする業者などにあたってしまうリスクもあります。相場を知っておくのはもちろん、どういった形で費用が決められているのか理解しておくことはとても重要でしょう。
この記事では屋根塗装の費用相場について、ゼロから解説していきます。
この記事を読んでわかること
☑屋根塗装にかかる大まかな費用
☑費用を決める要因、「面積」「塗料」について
☑「諸経費」に含まれるものについて
☑いい業者の選び方と安全に費用を抑える方法
☑屋根塗装で使える補助金などについて
1まずはざっくり費用の相場を紹介
1-1 大まかな費用相場
屋根塗装の費用は、屋根の面積、使用する塗料、屋根の形、天窓などの有無、建物の階数など様々な要素によって決まるため、本来は全ての工事がオーダーメイドで、費用もそれぞれ異なります。
しかし、まずはざっくりと、一般的な住宅で多いと言われている30~40坪ほどの家での費用の範囲をお伝えすると以下のようになります。
延べ床面積 |
費用相場 |
30坪(約100㎡) |
60~100万円 |
40坪(約132㎡) |
80~120万円 |
※ここでは2階建てと想定し、1階部分の面積を50㎡、66㎡として算出しています。平屋住宅の場合には上記の価格とは異なります。
延べ床面積が30坪~40坪というと、3LDK~4LDKくらいの家のイメージと思っていただくといいでしょう。ここからは、細かい費用の算出方法について解説します。
1-2 費用を決める2つの大きな要因
屋根塗装の費用は多くの要因によって決まるとお伝えしましたが、中でも特に重要なのが①屋根の面積、②塗料の種類の2つです。これらは見積書の項目をチェックする上でも重要なポイントになります。
見積書ではさらに、洗浄代、下地の処理代、足場代、管理費などの「諸経費」が、それぞれ加算されます。以下の章では、それぞれの内容について詳しく説明していきます。
2面積と費用
2-1 外壁の面積はどうしたらわかる?
塗料、洗浄、足場などの費用は、1㎡あたりいくらというように決まっていることが多いため、施工を行う屋根の面積は、費用を考える上で重要なポイントになります。
塗料はもともと業者が仕入れる際には1缶あたりいくらという価格ですが、施工に合わせて調合したり、施工の技術料を加えたりしたものを、見積もり書には「中塗り代 〇〇円/1㎡」「上塗り代
〇〇円/1㎡」のようにして記載されることが多くあります。
そのため、費用を計算するためにはまずは屋根の面積を大まかに知っておく必要があります。
面積を知るためには1階部分の床面積から計算する方法が最も簡単です。(2-2で一覧表もご紹介しているので、計算方法が必要ない方は2-2へお進みください。)
●1階部分の床面積から計算する
まずは、床面積がわかる建築時の間取り図を用意しましょう。屋根には勾配や軒があるため、1階部分の床面積に1.2~1.5を掛けることで、大まかな屋根の面積を算出することができると言われています。
勾配が急であればその分面積は大きくなりますが、正確な面積は現地調査をしなければ知ることは難しいので、まずは「床面積×1.5」と考えても良いでしょう。
【補足】
●坪を㎡に直すには
1坪はおおよそ3.3㎡です。30坪を㎡で表すには、30×3.3=99㎡となります
●床面積について
床面積とは、壁または柱の中心を基準に算出した部屋の内部の面積のことです。賃貸物件のパンフレットなどで使用される「建物面積」や「専有面積」は床面積とほぼ同じですが、似た名前の「建築面積」「土地面積」などは床面積とは異なるため注意しましょう。
建築時の間取り図がなく1階部分の床面積がわからない場合は、建物全体の坪数や間取りから想定するしかないでしょう。現在、一戸建て住宅で最も多いのが30~40坪程度の住宅と言われています。2階建てであれば1階部分の坪数は単純計算で15~25坪程で、平米で表すと50~80㎡程度と想定できます。
あくまで目安ですが、屋根面積は、70~120㎡程度であることが多いでしょう。
2-2 面積別の費用相場
20~50坪の家の費用相場をそれぞれ計算し、比較すると以下のようになります。
<面積と費用相場>
※数値はあくまで目安です。
延床面積 |
屋根の面積 |
費用相場 |
30坪 |
60~80㎡ |
30~80万円 |
35坪 |
70~90㎡ |
30~90万円 |
40坪 |
80~100㎡ |
40~100万円 |
45坪 |
90~110㎡ |
40~110万円 |
50坪 |
100~120㎡ |
50~120万円 |
面積が広くなるほど、使用する塗料の量も増え、足場や補修などの範囲も広くなるため費用が高くなります。
それぞれの費用に50万円程度の幅がありますが、塗料の単価がものによって大きく異なるため、費用を抑えたい場合には安価な塗料を選ぶ方法もあります。ただし、屋根材や気候との相性があるので、費用は重要ですが、耐用年数などを踏まえて適した塗料を選ぶことも大切でしょう。
3塗料の種類と費用
3-1 塗料の種類やグレードって?
費用を決める2つ目の大きな要因は、使用する塗料の種類です。
塗料にはよく使用されるものだけでも2~3種類、あまり使用されないものを含めると6~7種類があります。耐用年数がどれくらいか、断熱性が高いか低いか、汚れが付きやすいかどうかなど品質の違いがあり、基本的に品質が高いものほど価格が高くなります。
塗料と特徴、価格、耐用年数は以下の通りです。
<塗料と特徴>
塗料の種類 |
単価 |
耐用年数 |
特徴 |
アクリル樹脂塗料 |
1,000~1,500円//1㎡ |
5~8年 |
1回あたりの施工費用は安いが、耐久性が低いため、現在はあまり使用されていない。頻繁に塗り替えて雰囲気などを変えたい場合にはおすすめ。 |
ウレタン樹脂塗料 |
1,600~2,100円/1㎡ |
7~10年 |
耐久性は高くはないが、リーズナブルでシリコン樹脂の次に多く使用される。表面に光沢があり、汚れなどにもつきにくい。耐久性が高い塗料に比べると定期的な塗り替えでランニングコストがかかることも。
|
シリコン樹脂塗料 |
2,000~3,000円/1㎡ |
10~13年 |
現在最もよく使用される塗料。ウレタン樹脂に比べて耐久性があり、汚れや紫外線などにも強い。カラーバリエーションも豊富。費用はウレタン樹脂に比べるとやや高くなるが、機能性などからコストパフォーマンスが高い塗料と言われている。
|
ラジカル制御型塗料 |
2,200~3,500円/1㎡ |
10~15年 |
近年新しく発売された塗料で、耐久性が高く、紫外線や雨風の影響を受けにくいと言われている。シリコン樹脂よりやや高価だが、耐久性も高い。 |
フッ素樹脂塗料 |
3,500~4,500円/1㎡ |
15~20年 |
一般家庭で使用される塗料の中では最高級のもの。耐用年数が最も長いが、費用が高いため使用されることは少ない。表面に光沢があり、汚れや紫外線などにも強い。 |
光触媒塗料 |
4,000~5,000円/1㎡ |
15~20年 |
次世代の高機能塗料で、太陽光で汚れを浮かせて、雨によって汚れを流すというクリーニング機能を備えている。費用が高いためまだ一般家庭で使用されることはまれだが、耐久性、機能性ともにとれも優れている。
|
遮熱系塗料 |
4,000~5,000円/1㎡ |
15~20年 |
光を反射して夏などに室内の暑さを軽減する機能のある塗料。費用が高いが、耐久性にもとても優れている。 |
3-2 塗料別の費用相場
では、塗料によって施工費用はどのくらい変わるのでしょうか。
塗料の費用は施工全体の費用の中でも占めている割合が大きいため、少なからず違いが出てきます。
20坪、30坪、40坪、50坪の家を例に金額を比較すると以下のようになります。(数値はあくまで目安です。単価に幅があるものは平均値により算出していますのでご注意ください。)
<塗料別の費用相場>
坪数(延床面積) |
アクリル樹脂 |
ウレタン樹脂 |
シリコン樹脂 |
フッ素樹脂 |
光触媒・遮熱系 |
20坪 |
30~40万 |
35~45万 |
40~50万円 |
50~60万 |
60~70万 |
30坪 |
50~60万 |
55~65万 |
60~70万円 |
80~90万 |
90~100万 |
40坪 |
70~80万 |
75~85万 |
80~90万円 |
110~120万 |
120~130万 |
50坪 |
90~100万 |
100~110万 |
110~120万円 |
140~150万 |
160~170万 |
※足場、高圧洗浄などの諸経費も含みます。
安価なアクリル塗料やウレタン塗料と、現在最も人気のシリコン塗料とでは、10~20万程度は金額に差が出る計算となりました。また、耐用年数が長いことで知られるフッ素塗料などはさらに10~30万以上は高額になると考えられます。
また、これらは施工時の費用であるため、ランニングコストなどを考えると少し費用の印象も変わってくるでしょう。アクリル塗料やウレタン塗料は耐用年数が短いため、塗り直しの回数が多くなりランニングコストは高くなることもあり、フッ素塗料やシリコン塗料に比べて長い目で見た場合費用がかかる可能性もあります。
4塗料以外の「諸経費」
4-1 諸経費にはどんなものがある?
諸経費とは、塗料代以外にかかる、足場代、高圧洗浄代、下地処理代、管理費などを指します。足場代は家の大きさや形、高圧洗浄代や下地処理代は屋根の面積、管理費は工事全体の価格の何%というようにして決まることが多いです。また、屋根材のひび割れや剥がれなどの傷みがみられる場合は、別途部分修理費用がかかることがあります。
見積書に記載される項目としては以下のようなものがあります。
施工内容 |
費用(単価) |
足場 |
500~1,500円/1㎡ |
養生 |
100~500円/1㎡ |
高圧洗浄 |
100~300円/1㎡ |
下地処理 |
100~1,000円/1㎡ |
下塗り |
500~1,000円/1㎡ |
縁切り |
200~500円/1㎡ |
管理費 |
工事費用の5~10% |
見積もり項目補足
●下地処理:ヒビ割れ部分などの補修や、棟板金などの金属部分に紙やすりで小さなキズを付けるケレン作業を行う。
●下塗り:接着剤のような役割を果たすシーラーを塗る作業。塗料の剥がれを防ぐ効果がある。
●縁切り:スレート屋根で必要な工程。塗膜が隙間を埋めてしまうため、接合部をタスペーサーで切り離す作業を行う。
見積書の書き方は業者によって異なるため、必ずしもこのような書き方がされるとは限りません。ただし、項目が少なく「一式」などの書かれ方をしている場合には注意が必要です。
4-2 見積もりの例
ここで、実際の見積もり書の例をご紹介します。
<見積もり書>
スレート屋根のヒビ割れ補修と、シリコン塗料の再塗布
工事内容 |
数量 |
単価 |
価格 |
屋根修理 |
高圧洗浄 |
100㎡ |
200円 |
20,000円 |
下地補修(コーキング処理) |
5㎡ |
700円 |
3,500円 |
下塗り |
100㎡ |
700円 |
70,000円 |
上塗り1 |
100㎡ |
2,200円 |
220,000円 |
上塗り2 |
100㎡ |
2,200円 |
220,000円 |
縁切り |
100㎡ |
400円 |
40,000円 |
足場 |
245㎡ |
700円 |
171,500円 |
その他 |
諸経費 |
|
工事費用の5% |
26,250円 |
⇒ 合計:551,250円 ※他、消費税などかかります。
塗装の工程は下塗り、上塗り1回目(または中塗り)、上塗り2回目と、3回に分けて重ね塗りを行うのが一般的です。下塗りでシーラーを塗ったのち、上塗りで仕上げの塗料を塗っていきます。
諸経費については内容までしっかりと確認し、もしわかりにくい場合、不十分だと感じる場合には業者に事前に必ず質問するようにしましょう。
5安全に費用を抑えるために
ここからは、安全に費用を抑える方法についてお伝えします。なお、これ以降の内容については、外壁塗装の費用相場についての記事でも同様の内容をご紹介しています。
5-1 業者による費用の違いって?
屋根塗装の塗料の費用や諸経費にはある程度の相場があります。では、一体どのようなことから業者ごとで費用に差が出るのでしょうか。
●工事業者のタイプによる違い
まず一つには工事業者のタイプによる違いがあります。屋根塗装を行う業者には、大手のリフォーム会社、工務店、ハウスメーカー、地域密着型の塗装専門業者などがあります。
大手のリフォーム会社や工務店で多いのが、実際の工事を下請け業者に依頼していることによる中間マージンの発生です。知名度もある大手の会社は安心感があり、保障やアフターサービスが充実していることも多いですが、その代わりに費用は高額になることがあると理解しておきましょう。また、塗装を専門とする職人の数も、専門業者に比べると少ない傾向にあります。
それに対して地域密着型の塗装専門業者の場合は、工事をすべて自社で行うため、費用を抑えられる傾向にあります。専門性が高く技術をもった職人も多い傾向にあります。ただし業者によって対応や技術にばらつきがあるため、優良業者を見極めることが非常に重要です。また、保証やアフターサービスに関しても資金などに余裕がある大手のリフォーム会社に比べるとやや少なくなってしまう傾向にあります。
●仕入れ価格の違い
材料を仕入れる価格の違いも、業者間での費用の違いが生まれる理由の一つです。ただし、メーカーが出している商品自体の価格にはそれほど大きな違いはなく、仕入れ方法などにより多少の違いがある程度だと理解しておくのがいいでしょう。大幅な値下げを装って契約を迫る悪徳業者の中には、仕入れ価格を抑えることで費用を大幅に安くしていると説明する場合もあるようですが、あまりにも大きな値下げは塗装の面積を本来必要な量より少なく見積もっていたり、塗料を必要以上に薄めたりしていることもあるので要注意です。
●本来必要な部分を削って費用を安くする(悪徳業者または無理な下げ交渉によるもの)
上記以外にも費用が異なる理由には、人件費の違いや工事の時期(業者のスケジュールの空き状況)、工事店の担当者との相性などによるものもあるため一概には言えませんが、相場とあまりにもかけ離れた価格を提示する業者には注意が必要です。本来屋根塗装には、材料費、人件費、足場代、高圧洗浄代、見積もりの際の交通費や管理費など様々な費用がかかります。無理に価格を下げようとした場合、必要な部分を削るしかなく、例えば、本来二度塗りをするはずの塗料を一度しか塗らずに済ませる、作業の人員を無理に減らすか専門知識のないアルバイトにやらせることで人件費を削減する、塗料を必要以上に薄めるなど、極端な例ですが、可能性としてはゼロではありません。
また、「一律○○円」や「コミコミで○○円ぽっきり」という謳い文句にも注意した方がいいでしょう。本来、施工する住宅によって適した工事がすべて異なり、あらかじめ家の面積や対応年数、地域の気候や環境をすべて確認したうえでそれぞれの家に合った工事を行う必要があります。それらをしっかりと確認することなく費用を抑えて施工した場合どこかに無理が生じる可能性があります。
必要な部分を削って費用を抑えてしまった場合、早い段階でトラブルが起きて再工事が必要なるという例もあります。屋根塗装工事には100万円近くお金がかかるため、できる限り安くしたいという方も多いかと思いますが、安ければ安いほどいいというものではないので十分に注意しましょう。
5-2 優良業者を見分ける3つのポイント
優良業者を見極めるためには、以下の3つポイントを意識するのがおすすめです。
Point1
見積書の記載が詳細
見積もり項目の記載が、「一式」や数量「1」などのような記載ではなく、○○が何㎡、どこのメーカーの塗料が〇缶、などのように明確に記載してある業者を選ぶのはとても重要です。
工事の項目についても、高圧洗浄代、足場代、上塗り、下塗りなど細かく書かれているかよく確認しましょう。
Point2
説明が丁寧
見積書は専門用語などが多く、一般の方にとっては難しく感じるものです。何かわからないことがある場合には業者に聞いてみるのがとても大切です。その際に、内容について丁寧に説明してくれない業者はいい業者とは言えません。質問にしっかりと答えてくれて、対応が親切だと感じる業者を選ぶようにしましょう。後々トラブルになるのを防ぐためにも、気になることは必ず前もって確認しておくようにしましょう。
Point3
考える時間をくれる
悪徳業者の手口には、「今すぐ工事しないと危険」「この機会を逃すと費用が高くなる」など、契約を急かすパターンが多くあります。工事店のスケジュールが本当に詰まっているなど、急いで契約が必要な場合もあるかもしれませんが、複数業者に見積もりを依頼して比較などをさせないためである可能性もあるため十分に注意が必要です。業者にとってすぐに契約してもらえることはもちろん嬉しいですが、優良な業者であれば、お客様が考える時間が欲しいと言っているにも関わらず無理に急かすことはまずありません。不安なことがある場合はもちろん、そうでなくてもあえてその場で即決はせず、2、3日の考える時間を取って冷静に判断することはとても重要です。
5-3 支払方法に関する知識
施工費用の支払いは、どのタイミングで支払うかによっていくつかのパターンがあります。
●工事後に全額支払い
すべての施工が終わった後に支払いをするケースです。工事中の様子や工事後の仕上がりなどを見て納得した上で支払いができるため、依頼する側からすると最も安心な方法でしょう。しかし、業者側からすると万が一回収ができなかった場合のリスクなどデメリットがあり、資金が豊富な大手の会社でなければできないこともあります。
●工事前に50%、工事後に50%
工事前に全体の半分の費用を支払い、残りの半分を工事後に支払うというパターンです。多くの材料の調達などの費用はどうしても最初にかかるので、小規模な業者などでは材料費が大きな負担になる場合もあり、施工費の一部を先に支払ってもらうことで無理なく取り掛かれることもあります。依頼する側からしても、最初に支払うのは半額のみで、途中でもし何かトラブルがあった場合には再度話し合いをすることもできます。しかし、半分とは言え高額な費用を先に支払うのは不安な場合もあるので、最初は10~20%程度で着工してからさらに30%、完工後に50%などのように3回に分けて支払うパターンもあります。
●工事前に全額支払い
こちらのパターンはほとんどありませんが、ごく稀に全額を最初に支払うように要求する業者もあるようです。施工の様子を一切確認することができず、後々トラブルになる可能性も高いです。中には費用を払ったのに工事のスケジュールを先延ばしにされて、いつまでたっても工事をしてくれないというような大変悪質な業者もあります。業者側からすると安心して施工ができますが、依頼する側にとってはリスクがとても大きいので、このような業者とは契約しないのが無難でしょう。
5-4 補助金・火災保険に関する知識
補助金や火災保険を使用するというのも、安全に費用を抑えるための一つの方法です。適用には条件があるためすべてのパターンで利用できるわけではありませんが、一度住んでいる自治体の制度や条件を確認してみるといいでしょう。
●補助金
補助金制度は国や自治体によって工事費用が一部補助されるという制度です。外壁塗装で適用されるパターンとしては「省エネのための工事」に該当する場合です。遮熱塗料など一部の塗料を使用した際に該当します。
条件は自治体によって様々ですが、よくあるものとしては「税金を滞納していないこと」「工事が完了してから〇年以上は居住すること」などがあります。
各自治体のHPなどで調べると、制度や詳しい条件を確認することができるので、一度調べてみるのがいいでしょう。事前の申請が必要なことが多いので、検討している場合は早い段階で確認しておきましょう。
●火災保険
自然災害などが原因で一部が損傷し工事が必要になったという場合には、火災保険が適用されることがあります。補助金では審査があり、条件に該当していても、その時の予算などによっては支給されないこともありますが、火災保険は条件にさえ該当すれば支給される可能性が高いので、一度検討してみてもいいでしょう。また、いたずらや漏水などによって損傷してしまった場合には「住宅総合保険」などを使用できることもあります。
5-5 まとめ
屋根塗装工事は、100万円前後のお金がかかる高額な工事の一つです。しかし、初めての方にとっては費用の相場がわかりにくく、専門用語が並ぶ見積書などを完璧に理解することは簡単ではありません。そういった知識の差を利用して本来より高額な費用を請求する悪徳業者や、安いと見せかけて手抜き工事を行う業者がいることも事実であるため、依頼する前にできる限り費用に関する知識を持っておくことは大変重要です。
費用にはある程度の相場があり、単価や項目などから自宅の費用を予想することはできますが、先にも説明した通り屋根塗装工事は本来全て住宅によって異なり、自宅の築年数や塗装する場所の面積、気候などによって細かく違います。そのため、正確な費用は業者に実際に現地調査をしてもらった上で、見積書で確認する必要があります。失敗を避けるためには、複数の業者に見積もりを依頼して費用を比較する「相見積もり」をするのが一般的です。その際、見積書の内容が詳細に書かれているか、質問に丁寧に答えてくれるかなど、誠実な対応をしてくれる業者かどうかをしっかりと判断するようにしましょう。
外壁・塗装コネクトでは、お客様のご依頼の内容に合わせて近くの工事店を探しご紹介を行っております。複数の業者に見積もりを依頼する「一括見積り」のご依頼も承っておりますので、相見積もりをご検討中の方や、業者選びに不安があるという方はお気軽にご相談ください。