外壁塗装の費用相場って?塗装の面積や塗料ごとに全解説!
外壁塗装の費用は家の大きさ形、選ぶ塗料などによっても大きく異なるため、相場がわかりにくい工事の一つと言われています。
しかし、一般の方にわかりにくいからこそ高額な金額を請求する悪徳業者や、費用を安く見せかけて手抜き工事をする業者などがいることも事実で、大まかな相場を知るのはもちろん、どういった形で費用が決められているのか、見積書の項目はどのように見たら良いのか知っておくことはとても重要です。
この記事では外壁塗装の費用相場について、初めての方でも基本を理解できるようにゼロから解説していきます。
この記事を読んでわかること
☑ 外壁塗装にかかる大まかな費用
☑ 費用を決める3つの大きな要因、「面積」「塗料」「付帯部分」について
☑ 塗料の種類と値段の違いについて
☑ いい業者の選び方と安全に費用を抑える方法
☑ 外壁塗装で使える補助金などについて
1まずはざっくり費用の相場を紹介
1-1 大まかな費用相場
外壁塗装の費用は家の大きさなど様々な要因が絡んでくるため、時と場合によってとても幅が広いです。
しかし、まずは費用のイメージを持ちたいという方のために、一般的な住宅で多いと言われている延べ床面積が30~40坪ほどの家の工事費用を大まかにまとめると以下のようになります。
延べ床面積 | 費用相場 |
---|---|
30坪(約100㎡) | 60~100万円 |
40坪(約132㎡) | 80~120万円 |
延べ床面積が30坪~40坪というと、3LDK~4LDKくらいの家のイメージと思っていただくといいでしょう。
1-2 費用を決める3つの大きな要因
費用を決めるためには、壁の面積だけでなく、家の形、塗料のグレード、塗料の色、断熱性の有無、施工業者の種類、施工時期などたくさんの要因が絡んできます。
住んでいる地域の環境やその人のライフスタイルによっても適切な工事は異なるため、一軒一軒オーダーメイドの施工によって本来は費用もすべて異なるということです。
しかし、大きな要因としてまず押さえておきたいのは、①面積、②塗料、③軒天など付帯部分の工事の有無の3つについてです。
以下の章では、それぞれの要因ごとに解説していきます。
2面積と費用
2-1 外壁の面積はどうしたらわかる?
費用を決める1つ目の大きな要因は、塗装を行う面積です。
塗料や補修、足場などの費用というのは、1㎡あたりいくらというように記載されることが多いです。塗装に必要な塗料も、「1缶あたりいくらで、それで何㎡塗ることができるのか、だからこの家には何缶の塗料が必要なのか」というように計算することが多いです。
そのため、もし自分で大まかな金額を計算したいのであれば、まずは外壁の面積を大まかに知る必要があります。
外壁のおおまかな面積を知るには以下の2つの方法があります。(2-2で一覧表もご紹介しているので、計算方法が必要ない方は2-2へお進みください。)
①延べ床面積から計算する
延べ床面積とは、建物の床面積の合計のことです。例えば、2階建ての建物であれば1階部分の床面積と、2階部分の床面積を足した値が延べ床面積となります。
外壁の面積は一般的に、延べ床面積に1.2~1.7を掛けた値になると言われています。
延べ床面積が100㎡であれば、外壁の面積はおおよそ120㎡~170㎡程度になると想定することができます。
1.2~1.7というとかなり幅があるので、わかりにくいと感じたときは一般住宅に多いと言われている1.2で計算しておくといいでしょう。
【補足】
●坪を㎡に直すには
1坪はおおよそ3.3㎡です。30坪を㎡で表すには、30×3.3=99㎡となります
●床面積について
床面積とは、壁または柱の中心を基準に算出した部屋の内部の面積のことです。賃貸物件のパンフレットなどで使用される「建物面積」や「専有面積」は床面積とほぼ同じですが、似た名前の「建築面積」「土地面積」などは床面積とは異なるため注意しましょう。
②建築時の図面から計算する
建築時の立面図などがある場合には、書かれている縦と横の長さなどから面積を出すことができます。
外壁の最下部から屋根の上までの高さに家の幅を掛けてまず一面分の面積を出し、同様に残りの面も出して最後に合計します。
この方法では、窓などの面積が入ってしまうため、塗装を行う面積はここで出した値よりもやや少なくなります。
※面積は実際には家の形や窓のサイズなどによっても細かく異なるため、正確に出すことは難しいです。計算によって出した面積はあくまで目安と考えましょう。
2-2 面積別の費用相場
20~50坪の家の費用相場をそれぞれ計算し、比較すると以下のようになります。
坪数 | 延べ床面積 | 外壁の面積 | 費用相場 |
---|---|---|---|
20坪 | 66㎡ | 80~100㎡ | 40~70万円 |
25坪 | 83㎡ | 90~120㎡ | 50~90万円 |
30坪 | 99㎡ | 110~150㎡ | 60~100万円 |
35坪 | 116㎡ | 130~170㎡ | 70~110万円 |
40坪 | 132㎡ | 150~200㎡ | 80~130万円 |
45坪 | 149㎡ | 170~220㎡ | 90~150万円 |
50坪 | 165㎡ | 190~240㎡ | 100~180万円 |
それぞれの費用相場に30~50万円程度は幅がありますが、これらは使用する塗料の種類や選ぶ業者のタイプなどによって異なります。面積が広くなるほど、使用する塗料の量も増え、足場や補修などの範囲も広くなるため費用が高くなります。
3塗料の種類と費用
3-1 塗料の種類やグレードって?
費用を決める2つ目の大きな要因は、使用する塗料の種類です。
塗料にはよく使用されるものだけでも2~3種類、あまり使用されないものを含めると6~7種類があります。耐用年数がどれくらいか、断熱性が高いか低いか、汚れが付きやすいかどうかなど品質の違いがあり、基本的に品質が高いものほど価格が高くなります。
塗料と特徴、価格、耐用年数は以下の通りです。
塗料の種類 | 単価 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|---|
アクリル樹脂塗料 | 1,000~1,500円//1㎡ | 5~8年 | 1回あたりの施工費用は安いが、耐久性が低いため、現在はあまり使用されていない。頻繁に塗り替えて雰囲気などを変えたい場合にはおすすめ。 |
ウレタン樹脂塗料 | 1,600~2,100円/1㎡ | 7~10年 | 耐久性は高くはないが、リーズナブルでシリコン樹脂の次に多く使用される。表面に光沢があり、汚れなどにもつきにくい。耐久性が高い塗料に比べると定期的な塗り替えでランニングコストがかかることも。 |
シリコン樹脂塗料 | 2,000~3,000円/1㎡ | 10~13年 | 現在最もよく使用される塗料。ウレタン樹脂に比べて耐久性があり、汚れや紫外線などにも強い。カラーバリエーションも豊富。費用はウレタン樹脂に比べるとやや高くなるが、機能性などからコストパフォーマンスが高い塗料と言われている。 |
ラジカル制御型塗料 | 2,200~3,500円/1㎡ | 10~15年 | 近年新しく発売された塗料で、耐久性が高く、紫外線や雨風の影響を受けにくいと言われている。シリコン樹脂よりやや高価だが、耐久性も高い。 |
フッ素樹脂塗料 | 3,500~4,500円/1㎡ | 15~20年 | 一般家庭で使用される塗料の中では最高級のもの。耐用年数が最も長いが、費用が高いため使用されることは少ない。表面に光沢があり、汚れや紫外線などにも強い。 |
光触媒塗料 | 4,000~5,000円/1㎡ | 15~20年 | 次世代の高機能塗料で、太陽光で汚れを浮かせて、雨によって汚れを流すというクリーニング機能を備えている。費用が高いためまだ一般家庭で使用されることはまれだが、耐久性、機能性ともにとれも優れている。 |
遮熱系塗料 | 4,000~5,000円/1㎡ | 15~20年 | 光を反射して夏などに室内の暑さを軽減する機能のある塗料。費用が高いが、耐久性にもとても優れている。 |
3-2 塗料の色って?
家のイメージによって、ベージュ系、グレー系など好みの色味を出したいという方も多いでしょう。家全体の印象を大きく左右するため、色選びはとても重要です。寒色系か暖色系か、明るいか暗いか、濃いか薄いかなど少しの違いでも印象が異なります。広範囲を塗った時の見え方や、周囲の建物とのバランスなど、様々な要素をよく確認して決めるようにしましょう。
費用の点で言うと、複雑な色味になるほど混ぜる色の数が多くなり職人が調合する手間などもかかるため、費用が高くなる傾向にあります。
3-3 塗料別の費用相場
では、塗料によって施工費用はどのくらい変わるのでしょうか。
塗料の費用は施工全体の費用の中でも占めている割合が大きいため、少なからず違いが出てきます。
20坪、30坪、40坪、50坪の家を例に金額を比較すると以下のようになります。(数値はあくまで目安です。単価に幅があるものは平均値により算出していますのでご注意ください。)
坪数(延床面積) | アクリル樹脂 | ウレタン樹脂 | シリコン樹脂 | フッ素樹脂 | 光触媒・遮熱系 |
---|---|---|---|---|---|
20坪 | 30~40万 | 35~45万 | 40~50万円 | 50~60万 | 60~70万 |
30坪 | 50~60万 | 55~65万 | 60~70万円 | 80~90万 | 90~100万 |
40坪 | 70~80万 | 75~85万 | 80~90万円 | 110~120万 | 120~130万 |
50坪 | 90~100万 | 100~110万 | 110~120万円 | 140~150万 | 160~170万 |
※外壁面積を20坪:79㎡、30坪:119㎡、40坪:158㎡、50坪:198㎡と仮定して算出しています。
※足場、高圧洗浄などの諸経費も含みます。
最も人気があるシリコン塗料とフッ素塗料などのより高級な塗料を比較すると、20~30万円程度の差がある計算になります。また、シリコン塗料と最も安価なアクリル塗料を比較すると、こちらも10~20万程度の差があります。
安価なアクリル塗料やウレタン塗料は耐用年数が短いため、塗り直しの回数が多くなりランニングコストは高くなることもあります。一方フッ素塗料や光触媒塗料は施工時に高額な費用が掛かってしまうので、あまり塗り替えができないビルなどで使用されることが多いです。
4塗料以外にかかる費用
4-1 付帯部分(ふたいぶぶん)って?
付帯部分(付帯部)とは、外壁や屋根についている細かいパーツのことで、画像のように軒天、雨樋、雨戸、門塀、破風板、水切り、幕板などが含まれます。これらは外壁と同様に雨風にさらされており時間が経つと劣化してくるため、外壁塗装をするタイミングで一緒に塗装をすることが多いです。
4-2 付帯部分の塗装にかかる費用
外壁塗装の費用を決める3つ目の要因として、これらの付帯部分をどこまで塗装するかというのが重要になります。一般的に、外壁塗装の際に一緒に塗装をすることが多い場所と、それぞれの大まかな単価は以下の通りです。
付帯部分 | 単価 |
---|---|
雨樋 | 1,000~1,400円/m |
軒天 | 1,000~1,500円/㎡ |
雨戸 | 2,000~3,000円/枚 |
破風板・鼻隠し | 800~1,200円/m |
幕板 | 800~1,200円/㎡ |
門塀 | 1,800~2,500円/㎡ |
水切り | 300~800円/m |
ベランダ(防水塗装)※ | 3,000~8,000円/㎡ |
※ベランダは塗装というより防水工事になります。費用としても他の付帯部分の工事に比べると高額になりますが、重要な工事になので、一度検討してみてもいいでしょう。防水工事については以下の記事でもご紹介していますので、あわせてお読みください。
- ベランダ防水工事について詳しく知る
- 大切な自宅を守る!ベランダ・バルコニー防水の種類と見分け方、修理が必要な症状とは
付帯部分がどこまで含まれるかによって工事全体の費用が異なるため、最初に見積もりが出された時点で、これらの項目がどこまで入っているのかを必ず確認するようにしましょう。安く見えたとしても、必要な付帯部分の工事が入っていなかったなどということになると後にトラブルになりかねません。見積書をみてわからない場合には、業者に質問してみましょう。
4-3 「諸経費」について
諸経費とは、塗料代や付帯部分の工事費用以外にかかる、足場代、高圧洗浄代、下地処理代、管理費などを指します。足場代は家の大きさや形、高圧洗浄代や下地処理代は外壁の面積、管理費は工事全体の価格の何%というようにして決まることが多いです。また、外壁にひび割れなどの傷みや劣化がみられる場合は修繕費がかかります。
よくある項目としては以下のようなものがあります。
施工内容 | 費用(単価) |
---|---|
足場 | 500~1,500円/1㎡ |
養生 | 100~500円/1㎡ |
高圧洗浄 | 100~300円/1㎡ |
下地処理 | 100~1,000円/1㎡ |
コーキング修繕 | 500~1,200円/1㎡ |
管理費 | 工事費用の5~10% |
これらの項目は、本来は見積書にしっかりと記載するべきものですが、まれに「一式」など不明瞭な書き方をしている業者もあります。見積書の諸経費については内容までしっかりと確認し、もし書かれていない場合には業者に説明してもらうようにしましょう。説明もせず不明瞭な書き方をする業者は、必要な工事をしっかりとせずに高額なお金を取ることもありますので十分に注意が必要です。
5安全に費用を抑えるために
5-1 業者による費用の違いって?
外壁塗装の塗料の費用や諸経費にはある程度の相場があります。では、一体どのようなことから業者ごとで費用に差が出るのでしょうか。
●工事業者のタイプによる違い
まず一つには工事業者のタイプによる違いがあります。外壁塗装を行う業者には、大手のリフォーム会社、工務店、ハウスメーカー、地域密着型の塗装専門業者などがあります。
大手のリフォーム会社や工務店で多いのが、実際の工事を下請け業者に依頼していることによる中間マージンの発生です。知名度もある大手の会社は安心感があり、保障やアフターサービスが充実していることも多いですが、その代わりに費用は高額になることがあると理解しておきましょう。また、塗装を専門とする職人の数も、専門業者に比べると少ない傾向にあります。
それに対して地域密着型の塗装専門業者の場合は、工事をすべて自社で行うため、費用を抑えられる傾向にあります。専門性が高く技術をもった職人も多い傾向にあります。ただし業者によって対応や技術にばらつきがあるため、優良業者を見極めることが非常に重要です。また、保証やアフターサービスに関しても資金などに余裕がある大手のリフォーム会社に比べるとやや少なくなってしまう傾向にあります。
●仕入れ価格の違い
材料を仕入れる価格の違いも、業者間での費用の違いが生まれる理由の一つです。ただし、メーカーが出している商品自体の価格にはそれほど大きな違いはなく、仕入れ方法などにより多少の違いがある程度だと理解しておくのがいいでしょう。大幅な値下げを装って契約を迫る悪徳業者の中には、仕入れ価格を抑えることで費用を大幅に安くしていると説明する場合もあるようですが、あまりにも大きな値下げは塗装の面積を本来必要な量より少なく見積もっていたり、塗料を必要以上に薄めたりしていることもあるので要注意です。
●本来必要な部分を削って費用を安くする(悪徳業者または無理な下げ交渉によるもの)
上記以外にも費用が異なる理由には、人件費の違いや工事の時期(業者のスケジュールの空き状況)、工事店の担当者との相性などによるものもあるため一概には言えませんが、相場とあまりにもかけ離れた価格を提示する業者には注意が必要です。本来外壁塗装には、材料費、人件費、足場代、高圧洗浄代、見積もりの際の交通費や管理費など様々な費用がかかります。無理に価格を下げようとした場合、必要な部分を削るしかなく、例えば、本来二度塗りをするはずの塗料を一度しか塗らずに済ませる、作業の人員を無理に減らすか専門知識のないアルバイトにやらせることで人件費を削減する、塗料を必要以上に薄めるなど、極端な例ですが、可能性としてはゼロではありません。
また、「一律○○円」や「コミコミで○○円ぽっきり」という謳い文句にも注意した方がいいでしょう。本来、施工する住宅によって適した工事がすべて異なり、あらかじめ家の面積や対応年数、地域の気候や環境をすべて確認したうえでそれぞれの家に合った工事を行う必要があります。それらをしっかりと確認することなく費用を抑えて施工した場合どこかに無理が生じる可能性があります。
必要な部分を削って費用を抑えてしまった場合、早い段階でトラブルが起きて再工事が必要なるという例もあります。外壁塗装工事には100万円近くお金がかかるため、できる限り安くしたいという方も多いかと思いますが、安ければ安いほどいいというものではないので十分に注意しましょう。
5-2 優良業者を見分ける3つのポイント
優良業者を見極めるためには、以下の3つポイントを意識するのがおすすめです。
Point1
見積書の記載が詳細
見積もり項目の記載が、「一式」や数量「1」などのような記載ではなく、○○が何㎡、どこのメーカーの塗料が〇缶、などのように明確に記載してある業者を選ぶのはとても重要です。
工事の項目についても、高圧洗浄代、足場代、上塗り、下塗りなど細かく書かれているかよく確認しましょう。
Point2
説明が丁寧
見積書は専門用語などが多く、一般の方にとっては難しく感じるものです。何かわからないことがある場合には業者に聞いてみるのがとても大切です。その際に、内容について丁寧に説明してくれない業者はいい業者とは言えません。質問にしっかりと答えてくれて、対応が親切だと感じる業者を選ぶようにしましょう。後々トラブルになるのを防ぐためにも、気になることは必ず前もって確認しておくようにしましょう。
Point3
考える時間をくれる
悪徳業者の手口には、「今すぐ工事しないと危険」「この機会を逃すと費用が高くなる」など、契約を急かすパターンが多くあります。工事店のスケジュールが本当に詰まっているなど、急いで契約が必要な場合もあるかもしれませんが、複数業者に見積もりを依頼して比較などをさせないためである可能性もあるため十分に注意が必要です。業者にとってすぐに契約してもらえることはもちろん嬉しいですが、優良な業者であれば、お客様が考える時間が欲しいと言っているにも関わらず無理に急かすことはまずありません。不安なことがある場合はもちろん、そうでなくてもあえてその場で即決はせず、2、3日の考える時間を取って冷静に判断することはとても重要です。
5-3 支払方法に関する知識
施工費用の支払いは、どのタイミングで支払うかによっていくつかのパターンがあります。
●工事後に全額支払い
すべての施工が終わった後に支払いをするケースです。工事中の様子や工事後の仕上がりなどを見て納得した上で支払いができるため、依頼する側からすると最も安心な方法でしょう。しかし、業者側からすると万が一回収ができなかった場合のリスクなどデメリットがあり、資金が豊富な大手の会社でなければできないこともあります。
●工事前に50%、工事後に50%
工事前に全体の半分の費用を支払い、残りの半分を工事後に支払うというパターンです。多くの材料の調達などの費用はどうしても最初にかかるので、小規模な業者などでは材料費が大きな負担になる場合もあり、施工費の一部を先に支払ってもらうことで無理なく取り掛かれることもあります。依頼する側からしても、最初に支払うのは半額のみで、途中でもし何かトラブルがあった場合には再度話し合いをすることもできます。しかし、半分とは言え高額な費用を先に支払うのは不安な場合もあるので、最初は10~20%程度で着工してからさらに30%、完工後に50%などのように3回に分けて支払うパターンもあります。
●工事前に全額支払い
こちらのパターンはほとんどありませんが、ごく稀に全額を最初に支払うように要求する業者もあるようです。施工の様子を一切確認することができず、後々トラブルになる可能性も高いです。中には費用を払ったのに工事のスケジュールを先延ばしにされて、いつまでたっても工事をしてくれないというような大変悪質な業者もあります。業者側からすると安心して施工ができますが、依頼する側にとってはリスクがとても大きいので、このような業者とは契約しないのが無難でしょう。
5-4 補助金・火災保険に関する知識
補助金や火災保険を使用するというのも、安全に費用を抑えるための一つの方法です。適用には条件があるためすべてのパターンで利用できるわけではありませんが、一度住んでいる自治体の制度や条件を確認してみるといいでしょう。
●補助金
補助金制度は国や自治体によって工事費用が一部補助されるという制度です。外壁塗装で適用されるパターンとしては「省エネのための工事」に該当する場合です。遮熱塗料など一部の塗料を使用した際に該当します。
条件は自治体によって様々ですが、よくあるものとしては「税金を滞納していないこと」「工事が完了してから〇年以上は居住すること」などがあります。
各自治体のHPなどで調べると、制度や詳しい条件を確認することができるので、一度調べてみるのがいいでしょう。事前の申請が必要なことが多いので、検討している場合は早い段階で確認しておきましょう。
●火災保険
自然災害などが原因で一部が損傷し工事が必要になったという場合には、火災保険が適用されることがあります。補助金では審査があり、条件に該当していても、その時の予算などによっては支給されないこともありますが、火災保険は条件にさえ該当すれば支給される可能性が高いので、一度検討してみてもいいでしょう。また、いたずらや漏水などによって損傷してしまった場合には「住宅総合保険」などを使用できることもあります。
5-5 まとめ
外壁塗装工事は、100万円前後のお金がかかる高額な工事の一つです。しかし、初めての方にとっては費用の相場がわかりにくく、専門用語が並ぶ見積書などを完璧に理解することは簡単ではありません。そういった知識の差を利用して本来より高額な費用を請求する悪徳業者や、安いと見せかけて手抜き工事を行う業者がいることも事実であるため、依頼する前にできる限り費用に関する知識を持っておくことは大変重要です。
費用にはある程度の相場があり、単価や項目などから自宅の費用を予想することはできますが、先にも説明した通り外壁塗装工事は本来全て住宅によって異なり、自宅の築年数や塗装する場所の面積、気候などによって細かく違います。そのため、正確な費用は業者に実際に現地調査をしてもらった上で、見積書で確認する必要があります。失敗を避けるためには、複数の業者に見積もりを依頼して費用を比較する「相見積もり」をするのが一般的です。その際、見積書の内容が詳細に書かれているか、質問に丁寧に答えてくれるかなど、誠実な対応をしてくれる業者かどうかをしっかりと判断するようにしましょう。
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