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【保存版】サイディング張替えの知識を総まとめ!費用相場、時期、種類別の特徴など徹底解説

サイディングとは建物の外壁材のことを言います。外壁は常に外部からの紫外線などにさらされているため、建築時には綺麗だった外壁も時間の経過とともに劣化や汚れ、塗膜の剥がれなどがみられるようになります。修理やメンテナンスには表面の塗装や重ね張りなどいくつかの方法がありますが、今回はその中でも特に規模の大きな工事である、張替え工事について解説します。

1サイディングとは?

サイディングとは、建物の外壁を施工したときに一番外側に張る仕上げの外壁材のことです。建築などの知識がない方の中には初めて名前を聞いたという方もいるでしょう。サイディングは、以前に多く普及していた「モルタル」と呼ばれる塗り壁に代わって普及した外壁材で、パネル状になっていて、張り合わせて施工を行います。短い時間で施工ができ、塗り壁のような高度な技術がなくても施工ができるため急速に普及し、現在では国内で使用されている外壁材のうち90%以上のシェア率を誇ります。

2サイディングの張替えを行う時期

2-1 サイディングの耐用年数

サイディングの寿命は種類や使用環境によって異なりますが、一般家庭に多く普及しているものの耐用年数は概ね20年~30年程度と言われています。

メンテナンスの目安としては、シーリング(サイディングのつなぎ目部分)の補修工事は5~7年に1度程度、塗装は10年に一度程度、張替えは20年~30年程度経って劣化が激しくなってきたときに行うのがいいでしょう。

2-2 劣化のチェックポイント

サイディングの劣化症状にはひび割れやチョーキング減少、錆などがあります。そのうち、張替えをした方がいい症状としては以下のようなものです。

①複数個所のひび割れ

ひび割れは最も多い劣化症状の一つで、1、2箇所程度なら接着剤などを使用して補修を行うことも可能ですが、複数個所にあり補修が難しい場合には張替えをするのがおすすめです。

②サイディングボードの一部の剥がれ

外的な事故などではなく劣化によってサイディングボードの一部が剥がれてしまった場合には劣化が激しいことが予想されますので、張替えが必要です。剥がれた部分の下地まで傷んでいるように見える場合には、他の部分も同じように傷みが広がっているケースもあるため十分に注意しましょう。

③全体の色褪せ・コケ

チョーキング現象などは場合には塗装によって解消できる場合もありますが、全体が明らかに変色していたり、コケが発生していたりする場合は張替えの目安でしょう。

④錆や穴あき(金属系の場合)

金属系のサイディングの場合には、経年劣化によって錆や腐食による穴あきが起こることがあります。錆は一度発生すると徐々に広がっていくためできるだけ早く対応するのが大切ですが、広範囲に広がってしまった場合には補修が難しいため、張替え工事が必要です。

⑤雨漏りの発生

外壁から雨漏りが発生している場合には、外壁材はもちろん内部にある下地まで水が浸透してしまっていると考えられるため、一度外壁材を外して内部まで点検や補修を行う張替え工事をする必要があります。

⑥塗膜の剥がれ

塗膜の剥がれは時と場合により、塗装によるメンテナンスをすれば問題ないこともあります。剥がれがひどく外壁材自体が水や紫外線によって傷んでしまった場合や、ひび割れなども多く発生している場合には張替えが必要になることがあります。

3サイディングの種類と費用

3-1 サイディングの種類って?窯業系、金属系、樹脂系、木製系の4つを解説!

サイディングには大きく分けて、①窯業(ようぎょう)系、②金属系、③樹脂系、④木製系の4つの種類があります。

①窯業系サイディング

窯業(ようぎょう)系サイディングは、現在日本で70%以上のシェア率を誇る、最も人気の外壁材です。セメントと繊維質をベースにした素材で、窯(かま)を使って高温で処理をする工程があるため「窯業系」と呼ばれています。メンテナンスを必要とする頻度はやや高めですが、タイル柄、木目柄などデザインがとても豊富で、施工時の費用が比較的安いのが特徴です。

●窯業系サイディングのメリット

・デザイン性が高く様々なイメージを表現することが可能

・耐火性が高い

・施工時の費用が比較的安い

・遮音性に優れている

・近年では色褪せに強いタイプや、汚れを落としやすくする機能が備わったものもある

・工期が短くて済む


●窯業系サイディングのデメリット

・素材自体に防水性がない(表面に塗装が必要)

・塗膜が劣化してくると防水性が落ちるので、10年に1度程度は再塗装のメンテナンスが必要

・メンテナンスが他の外壁材より多くなる

・熱を溜め込みやすく室温が上昇しやすい(遮熱効果のある塗料を塗ることで軽減できる)

②金属系サイディング

窯業系サイディングの次に多く普及している外壁材です。その名の通り金属の素材を使用しており、ガルバリウム、アルミなどの種類があります。種類によっては初期費用が高くなることがありますが、メンテナンス頻度は窯業系最ディングよりも少なく済むといわれており、軽量で耐震性や防水性といった機能面が優れているのが特徴です。窯業系サイディングとはまた違ったすっきりとしたスタイリッシュな雰囲気が魅力の一つでしょう。

●金属系サイディングのメリット

・軽量で建物への負担が少ない(窯業系の4分の1から8分の1程度の重さしかない)

・耐火性が高い

・断熱性、耐震性に優れている

・窯業系よりもメンテナンスまでの期間が長い

・スタイリッシュな印象


●金属系サイディングのデメリット

・デザインのバリエーションは窯業系の方が多い

・施工時の費用が窯業系よりも高くなることがある

・酸性雨や塩害に弱い

・劣化するとサビが発生することがある

・外的な衝撃に弱く凹みや傷がつきやすい

③樹脂系サイディング

樹脂系サイディングは海外では多く使用されていますが、日本ではまだほとんど普及はしていません。塩化ビニール樹脂を使用しており、金属系サイディングよりもさらに軽量で、強度が高い外壁材です。表面の色褪せなどにも強いので、塗装や補修などのメンテナンスが他のサイディングよりも少なく済むといわれています。しかし、施工できる職人が少なく費用も高額になります。

●樹脂系サイディングのメリット

・軽量で建物への負担が少ない(金属系サイディングよりもさらに軽い)

・耐久性が高くメンテナンスの手間がかからない

・塩害や凍害に強い(海岸近くの住宅や寒冷地域などでは好まれる)


●樹脂系サイディングのデメリット

・施工できる職人が少なく業者選びが大変

・初期費用が高額になる

・デザインが窯業系や金属系に比べて非常に少ない

④木質系サイディング

木質系サイディングは、その名の通り天然の木を使用した外壁材です。木の温もりや風合いを楽しめることが何より大きな特徴でしょう。他の外壁材に比べてメンテナンスなどが大変なこと、耐火性が低いことなどがあり通常はほとんど使用されることはありませんが、外壁にこだわる場合や、木目の美しさを保つためのこまめな手入れが苦にならない場合には良いでしょう。

●木質系サイディングのメリット

・天然の木の風合いを楽しむことができる

・断熱性が高い


●木質系サイディングのデメリット

・木目の美しさを保つにはこまめなメンテナンスが必要

・耐火性が低い

3-2 サイディング以外の外壁材

外壁材にはサイディング以外にもいくつか種類があります。

①モルタル

モルタルとは「塗り壁」のことで、セメントと砂を水で練って作ったペースト状の外壁材です。サイディングが登場してからは採用される機会が減りましたが、昔ながらの風合いがあり、日本家屋などには根強い人気があります。ペースト状のため曲面でも塗ることができることが大きな特徴でしょう

●モルタルのメリット

・曲面でも施工ができる

・昔ながらの風合いを楽しめる

・耐火性が高い


●モルタルのデメリット

・手間がかかり職人の技術もいるため費用が高い

・ひび割れが起きやすい

②ALC

ALCとは、「Autoclaved Lightweight aerated Concrete」の略で、「軽量気泡コンクリート」のことを言います。内部に気泡があるためコンクリートよりも重量が軽いことが大きな特徴で、建物への負担が少なく耐震性に優れています。他の外壁材に比べてつなぎ目が多く、外壁材本体よりもつなぎ目を埋めているシーリング材方の劣化が早いため、定期的に補修をしないと雨漏りの原因になると言われています。しかし、頑丈で耐久性が非常に高く優秀な外壁材です。

●ALCのメリット

・軽量で耐震性に優れている

・断熱性、遮音性、耐火性も高い

・頑丈で耐久性が非常に高い(高層ビルなどでは好まれる)


●ALCのデメリット

・初期費用が高額になる

・防水性がやや低い

・シーリング材の定期的な補修が必要

③タイル

タイルは初期費用が高額になるものの、耐久性が高く、見た目の高級感が人気の外壁材です。水を吸わないので、防水性が高く汚れにくいのも特徴です。費用の関係で採用されることは稀ですが、こだわりがある方にはおすすめです。

●タイルのメリット

・見た目に高級感がある

・頑丈でメンテナンスも少なくて済む

・防水性が高く汚れにくい


●タイルのデメリット

・初期費用が高額になる

・地震による剥離の可能性がゼロではなく、耐震性がやや劣る

3-3 種類別の費用一覧

では、外壁材によって費用はどのくらい異なるのでしょうか。

施工費用は1㎡あたりの単価と施工面積によって計算されるため、施工面積が異なれば全体の費用は大きく異なりますが、ここではまず外壁材ごとの単価をご紹介します。

<外壁材別単価一覧>
外壁材 単価 耐用年数 メンテナンス頻度
窯業系サイディング 3,000~7,000円/㎡ 30年程度 7~10年に一度
金属系サイディング 3,500~9,000円/㎡ 30年程度 10~15年に一度
樹脂系サイディング 4,000円~9,000/㎡ 30年程度 10~20年に一度
木質系サイディング 5,000円~8,000/㎡ 20~30年程度 8~10年に一度
モルタル 5,000円~7,000/㎡ 30~40年 5~10年に一度
ALC 6,000~10,000円/㎡ 60年 5~10年に一度
タイル 8,000円~30,000㎡ 40年 15~20年に一度

※施工価格は業者によって異なります。

一つの種類の中でもメーカーや加工の度合い、細かい素材の違いなどによって価格が異なります。(例えば金属系サイディングでは、ガルバリウム鋼板の場合は3,500円~6,000円/㎡程度、アルミニウムの場合には5,500円~9,000円/㎡程度が目安となります。)

耐用年数は目安としてはサイディングであれば20~30年程度となります。環境や手入れをどの程度行ったかによって異なり、海辺の地域や極端に寒い地域では劣化が早まることや、手入れを全くしないと塗膜が早い段階で機能しなくなり雨などによって外壁材まで劣化するケースがあります。

4工事の費用を徹底解説

4-1 工事全体にかかる費用

1回の張替え工事にかかる費用としては、100万円~250万円程度であることが最も多いと言われています。

外壁の面積によって大きく異なりますが、30坪で2階建ての一戸建て住宅の例で考えると、金属系・窯業系のサイディングへの張替えなら120万円~200万円、樹脂系・木質系のサイディングへの張替えなら150万円~230万円、タイルやALCへの張替えなら200~400万円程度が大まかな目安です。

これらの価格の中には3章で説明した外壁材の費用以外に、足場代や管理費などの諸経費が含まれていますので、以下で詳しくご説明します。

4-2 外壁材以外にかかる「諸経費」

外壁の張替え工事には新しい外壁材の費用以外にも、足場代、コーキングなどの補修代、既存外壁材の撤去代、養生代、管理費などの諸経費が含まれます。諸経費の目安としては以下のようになります。

<外壁材別単価一覧>
項目 単価
新しい外壁材 3,500~8,500円/㎡(※種類による)
既存外壁材の撤去 1,000~1,500円/㎡
防水シート 300~600円/㎡
シーリング補修代 800~1,200円/m
養生 200~500円/m
足場代 600~1,500円/㎡
管理費 工事費用の5~10%

※施工価格は業者によって異なります。

諸経費の書き方は業者によって異なり、既存外壁材の撤去代を新しい外壁材の費用に含めて記載する場合や、管理費に人件費が含まれて20%前後となっている場合もあるようです。(人件費は別には記載されず、新しい屋根材の単価が施工費も含めた価格になっていることも多いです。管理費が人件費込みの名目で高額に記載されている場合には、他の項目も含めて高すぎないかよく確認しましょう。)

5安全に費用を抑えて工事をする方法

張替えの費用は窯業系・金属系のサイディングであっても120~200万円程度と高額で、家計への負担も考えられます。とにかくできる限り費用を抑えて施工したいという方も多いですが、業者の選び方を間違えると施工不良などに繋がる可能性があり、早い段階で再工事が必要になるなど余計にお金がかかってしまったという例もあります。この章ではできる限り安全に費用を抑える方法についてご紹介します。

5-1 サイディング工事に使用できる補助金

外壁の工事は場合によっては国や自治体から補助の対象になります。対象となる可能性があるのは「省エネリフォーム」もしくは「耐震リフォーム」に該当する場合で、遮熱機能のある外壁材や現在より耐震性が高い外壁材を選んだ場合です。申請などに手間がかかる面もありますが、もしも審査に通ると数十万円単位で補助が受けられることもあります。

自治体によって制度は様々で、申請の条件もそれぞれ異なります。よくある条件としては「税金を滞納していないこと」「居住のための建物であること」などですが、これ以外にも様々な条件があります。

補助金を使って費用を抑えるのは最もリスクの少ないやり方ですので、一度検討してみて損はないでしょう。制度については自分が住んでいる自治体のHPなどで調べることができます。

5-2 業者による費用の違いについて

工事の費用は施工業者によって様々ですが、メーカーが出している外壁材などの価格にはある程度の相場があります。仕入れの方法などによって多少の違いは出るものの、基本的には一定以上安くすることは困難です。また、人件費などについても、必要な期間、無理のない人数で確実に作業をするためには最低限必要な人員を確保しなければなりません。

費用の異なる理由としてよくあるのは、下請け業者が入っているかどうかという点です。自社ですべてを施工することができる外壁の専門業者に比べ、大手のハウスメーカーや工務店に工事を依頼した場合には下請け業者に再度工事を依頼するため中間マージンが発生する可能性があります。できる限り自社で施工を行ってくれる業者に依頼することで費用を抑えることができます。

また、業者のスケジュールの空き状況、施工する自宅からの距離、得意分野かそうでないかなどによっても費用が異なる可能性があります。

5-3 悪徳業者に騙されないためのポイント

費用はもちろん安い方が家計への負担は軽くなりますが、外壁工事は安ければいいというものではないので注意が必要です。あまりに安い価格を見た場合まず気を付けなければならないのが、本来必要な部分の費用が削られてはいないかということです。悪質な業者にあたってしまった場合、費用を安いと見せかけ契約させた上で手抜き工事をされるなどといったケースがあります。また、業者に無理な値下げを要求したことが原因で起こってしまう可能性もあります。工事に失敗しないためには、業者選びの際に以下のようなことを意識しましょう。

①相見積もりをする

外壁の張替え工事は、家の面積や劣化状況によって費用も様々です。ネットで調べた相場だけではわからない部分が多く、正確な価格を知るためには実際に業者に現地調査をしてもらい見積もりを確認するしかありません。1社だけでは価格が適正かどうかを見極めるのが非常に困難なため、複数業者に見積もりを依頼する相見積もりを行うことはとても重要です。価格だけではなく、業者の対応などについてもしっかりと比較し見極めるようにしましょう。

②即決しない

悪徳業者の中には契約を急かすパターンが少なくありません。「できるだけ早く工事をしないと危険」「いまを逃すと費用が高くなる」など必要以上に急いで契約させられそうになった場合には要注意です。もちろん、工事業者にもスケジュールがあるため、本当に後ろの予定が詰まっていて早めでないと工事ができないという場合もありますが、優良な業者であればこちらが考える時間が欲しいと言っているにも関わらず無理に急かすようなことはまずありません。契約を急かすのは相見積もりをさせないためや、冷静な判断をさせないためである可能性があると思っておきましょう。契約する際には絶対にその場で即決はせず、1日でも考える時間を設けて冷静に判断することが大切です。

③質問をする

現地調査や見積書を見たときに、何か気になることがあればできるだけ業者に質問をするようにしましょう。

建築用語や見積書の見方は本来一般の方にとっては見慣れないもので、難しく感じて当然のものです。それらを質問した時に丁寧に説明してくれない業者はいい業者とは言えませんし、納得できないまま工事をしても後にトラブルになってしまうこともあります。

質問をしたときにあやふやなことしか教えてくれない業者や、不親切な対応をする業者だった場合には、後のことも考えて契約は控えた方が無難でしょう。

5-4 まとめ

サイディングには様々な種類があり、それぞれ価格や特徴が異なります。張替えをする際にはそれぞれのメリット・デメリットなどをよく確認し、ライフプランに合わせて最適なものを選ぶのが大切です。

また、業者選びは工事の中でも最も重要なポイントの一つです。それぞれの業者に得意分野があるため、使用したい外壁材が決まっている場合はそれにあった業者を選ぶようにしましょう。価格や対応などを見極めるためにも、複数業者に見積もりを依頼するのがおすすめです。

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